「花は咲く」は2011年3月11日東日本大震災の復興を願うチャリティーソングとして企画制作された。作詞は宮城県仙台市出身の岩井俊二さん、作曲・編曲は菅野よう子さんが担当した。この歌を聴くたびに心に響く。理由もなく涙がこぼれそうになる。それ故に「花は咲く」の歌は記憶の奥で生きている。
東日本大震災で自分の人生を狂わせた人が多い。人生そのものを失った人も多い。当日、私は横浜のスターバックス店の中で仕事をしていた。大きな地震が起きて店の中は店員もお客も慌てていた。ビルの中のスタバであったので防災アナウンスがこう叫んでいた。「外に出ないでビルの中にいてください!」と。地震はだんだん激しくなり、防災アナウンスの内容が変わってきた。
「今すぐに外に出てください!」と。ビルがゆらゆらと揺れている。外に出ても揺れが足元から伝わってくる。地震が収まり始めたら、周りの人たちが一斉にスマホや携帯電話で家族の安否を確認し始めた。携帯電話がつながらない人が多かった。私は公衆電話を探して自宅にいる妻に電話をした。公衆電話は問題なく直ぐにつながった。
2011年3月11日の大地震は多くの人に自然災害の怖さを伝えた。津波の被害が大きかった岩手県・宮城県・福島県の被災者たちのニュースが後から追いかけるようにテレビの画面に映し出された。東日本大震災の規模がわかった。2012年に「花は咲く」が発表された。
東日本大震災で亡くなった人たちを思うと・・・
「花は咲く」
真っ白な 雪道に 春風香る
わたしは なつかしい あの街を 思い出す叶(かな)えたい 夢もあった
変わりたい 自分もいた
今はただ なつかしい あの人を 思い出す誰かの歌が聞こえる 誰かを励ましている
誰かの笑顔が見える 悲しみの向こう側に花は 花は 花は咲く いつか生まれる君に
花は 花は 花は咲く わたしは何を残しただろう
懐かしいあの人を思い出すという歌詞を聞くたびに亡くなられた人たちの家族、親族、友人、知人がいることを思う。「花は咲く」の曲と歌詞は3月11日の大震災を思い出させてくれる。
私は被災者たちとは直接関係ないが、人生とは一体何だろうかと考えさせる。
突然、自分が災害で他界したら何を後に残すのだろうか?
今まで存在した自分という人間の記憶を誰が残してくれるのか。妻と私の子どもたち。友達や知人は時が過ぎ去るにつれて忘れていく。人生は他界した後に何を後に残すかでその人の人生が評価されるのかもしれない。自分の存在が家族だけでなく地域の人達の記憶にも残れば素晴らしい。
残念ながら、私を含めてそんな素晴らしいことは残せない。ただ、自分の人生は満足が行く人生であったと感じて他界できればそれで十分だ。それも出来ない人達が多い。そんな感じ方をして他界できなかった人たちが東日本大震災の被害者たちである。
やり残しがない人生を送りたい
66歳になり身体がちょっとづつ駄目になりかけている。今まで腰痛が1年近く続くことがなかった。昨年の7月から今現在まである角度で体を曲げたり、立ち上がったりすると腰の神経に触り痛みが瞬間的に走る。そんな腰痛が一時的に治ったり、再発したりしている。
体が不自由になる前までにやれること、やりたい事をやりたい。老いは誰にでもやってくる。老いが障害になって人生の楽しみを無くす前までに楽しめることは楽しみたい。ただ、人の人生は明日どうなるかも分からない。今だけが確かである。
今頭の悩ましていることは治るか、治らないか分からない原因不明の腰痛である。腰痛がひどくなると歩くことも辛くなる。体を自由に動かせなくなる。今はまだそこまで痛みが続かない。特定の角度で体を曲げるときだけである。困るのはどの角度ならば再現するかという傾向がないことである。
体が健康で問題がない時にやりたいことはやるべきである。後に残すと出来なくなる。チャンスは今。そう思う時が増えてきている。
震災で亡くなった人たちにはやり残したことが沢山ある
この思いをあとに残った家族が受け継いでいるのではないか。だからこそ、生き残っている人は自分の人生をやり残しのない人生にするべきである。未来のことは誰も分からないし、想像もできないがやりたいことに向かって生きていくことは出来る。
老後の生活がつまらないと感じながら生活をしているシニアが多い。やりたいことが無理なことだから出来ないと思っている人がいるかも知れないが、やってみることである。未来は誰も分からない。やれば、やれる可能性も生まれてくる。人生は自発的にやるか、やらないかで決まるのではないか。
結論
東日本大震災で亡くなった人たちと生き残った人たちに捧げられている「花は咲く」の歌を聴くと人生とは何かを考えてしまう。被災者はやりたいことも出来なくて他界してしまった。あとに残った家族も人生を狂わせてしまった。誰も予期もしなかった災害で人生そのモノが可笑しくなってしまう。
「花は咲く」の歌を聴くと心から涙が絞り出される。