昼スーパーで見かける多くの高齢者たち、それには理由がある

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高齢化社会を肌で感じたければ、平日昼の時間帯に近くのスーパーマーケットに行ってみると良い。お客のほとんどが高齢者たち、または、中高年の女性たちである。これが当たり前なのだろうかと疑う。朝、スーパーが開店するときに高齢者が多く見かけるのは以前から知っていたが、なぜ、昼の時間帯もなのだろうか?

いくつかの理由は想像できる。暇な時間を有効に使うためにスーパーで朝、昼、晩のおかずを買う。日々の行く場所を買い物が出来るスーパーにしている。自動車を運転できないので買い溜めが出来ない。それで、朝、昼、晩3回の買い出しをする。足を鍛えるための外出先にする。詰まる所、暇をつぶす一つの場所になる。

暇である高齢者たちは目的無しに「今を生きる事」に時間を使う

高齢者たちは食べ物の買い置きが出来ない場合がある。自動車が運転できないために沢山の食物を自宅まで持っていけない事情がある。自宅で料理しないで総菜や弁当などを買いに来る高齢者も多い。

朝、昼、夕方の3回、スーパーに買い出しをする。買い出しをする事自体に意味がある。歩く事で足を動かす。外に出る理由を作る。1日の気分転換にする。こんな理由が考えられる。

社会が高齢者を上手く活用できていない

堺屋太一がある本でこれからは団塊世代が輝く時代であると言っていたが、実際にどうなのだろうか。彼がそう言う理由は、高齢者たちが年金兼業労働者になるからだという。ある程度の生活資金は年金からもらえるので好きな事を仕事にして働けるとしている。これは好きな仕事が出来る人だけが対象になる。

多くのシニアは働きたくても自分が望む仕事を見つけられない。年齢制限で書類で落とされ、健康診断で篩いにかけられる。元気で健康なシニアであってもITのスキルと知識がないために敬遠される。残る仕事は清掃スタッフ、警備誘導スタッフ、介護補助スタッフなど嫌な肉体労働中心になる。

テレビのニュースではしきりに人手不足が飲食業界、物流業界、IT業界、介護業界で起きていることを取り上げている。どのニュースもシニアの労働力を眼中にしていない。団塊世代は65歳後半から75歳後半の年齢になる。年金兼業労働者として社会で活躍しているの一部の高齢者だけである。

私が見る限り、多くの団塊世代のシニアは働きたい仕事が見つからないで時間を持て余している。取り敢えず、働かなくても年金で生活が出来るので緊迫感はない。社会はそんな高齢者が喜ぶ仕事を与えていない。

社会は意欲あるシニアが自分で仕事を作る機会を与えているが、数は知れている。余った時間をどのように使ったら良いか困っている団塊世代のシニアは一番簡単な方向に向かう。

時間の無駄遣いをする

余生を有意義に生きたいと積極的に考えて動いているシニアであれば、NPO団体などで何か出来ないかを探し出す。殆どは社会での自分の居場所を探そうと外に出るのだがウロウロするだけ。午前中はあのカフェで時間を潰し、午後は図書館で昼寝をする。

 朝、昼、夕方、スーパーに買い出しに来ることは高齢者に取って良い気分転換になる。毎日が日曜日の高齢者はその生活を楽しんでいない。生きているけれども生き甲斐がない。時間だけが過ぎていくだけ。生活に感動と発見がないと頭はどんどん衰えて認知症状態に向かう。

暇なシニアは「今日行く場所、今日やる事」を探している。昼間のスーパーで高齢者を多く見かけるのは買い物をする場所として必須なスーパーが行く場所になっているからである。食べる物を買うのは生きて行く上で必要である。シニアにとってスーパーは有意義な暇つぶしの場所になる。

シニアの再教育とトレーニングで暇な時間を有効に使わせる

高齢者の人口が多いのは団塊世代である。この世代の高齢者に年金兼業労働者になってもらう仕組みと仕事が必要である。そのためには変化が激しい時代に追いつくための再教育が必要になる。政府は老人を労働者に変える再教育プログラムを無償で行うべきである。20世紀に米国で作られたアダルトスクールがある。格安、または、無償で地域の大人に時代が要求する職業訓練教育をする学校である。年齢不問で誰もがその教育を受けられる仕組みになっている。

日本に無償で誰でもが学べるアダルトスクール制度を作って再教育とトレーニングを求める高齢者に機会を与えるべきである。

結論

生きがいを見つけられない、仕事がない、暇を持て余している団塊世代以上のシニアが増えている。寿命が伸びて高齢者が自然と増える。労働力として高齢者を求める仕組みがない今の社会は社会負担を増す。高齢者でも社会に貢献できる仕事や役割を与える仕組みがどうしても必要になる。

政府は高齢者が新しいスキルや知識を学ぶ機会を無償で提供すべきである。肉体労働よりも知的生産の仕事に向いたスキルを提供する学校が求められる。昼間の時間をそんな学校で社会に必要な知識やスキルを学ぶシニアが増えれば、昼間のスーパーで多くの老人を見かけなくなる。年金兼業労働者が増えれば、社会保障費負担も軽減される。