肉体は歳と共に衰えて行く。これは実感できる。精神はどうか。肉体ほど実感がないと私は感じている。夫婦二人の生活が始まってどちらかが他界するまで夫婦二人の生活が続く。家に帰れば、家内が夕食を作って待っていてくれる。このような時間がいつまで続くか分からないが、必ず。終わりが来る。
それは、独身であった若い頃に結婚相手を見つけて一緒にいる時間を長く持とうとする事と同じだ。人生の流れは、独身>夫婦>家族>夫婦>独身という感じで移って行く。
私たち夫婦は、また、二人だけの新婚時代に戻っている。両親の介護支援はあるが、夫婦二人の生活が生まれている。新婚の頃のように赤ちゃんを作るという事は無くなり、自分たち二人の生活を楽しむ時間を得ている。
そして、
ある日ある時、どちらかが寿命を全うし旅立つ。あとに残された片割れは、また、独身の生活を始める。若さが無い、くたびれた肉体で寿命を全うしようとする。生と死。始めと終わり。どちらが後に残ろうとも精神的な苦痛は生まれる。二人で楽しんだ共有の時間が消えるからだ。自宅に帰っても誰も待っていない。待っているのはペットの犬や猫かもしれない。
二人一緒に他界するのが理想だが、それは望み過ぎだろう!
孤独と孤立。老いて来ると「孤独と孤立」と言う問題に直面する。夫婦二人の生活が続いていれば、「孤独と孤立」と言う問題に直面しない。一緒にいるだけで幸せだからだ。老いて来れば来るほどお互いに依存しあう、肉体的にも精神的にもだ。依存しあっていた伴侶がいなくなると肉体よりも精神的な空虚感が強く出る。
いつもの生活が突然いつもで無くなる。
そんな日が夫婦二人の生活をしている人たちに必ずやってくる。生があり、死があるのと同じだ。時間が経過するに従い、夫婦二人の生活から一人の生活にリズムが出来て行く。新しいシニアの独身生活が始まる。どの様な独身生活にするかは、その人の望みによる。
寂しさから逃げるために同居人を求める人が増えている。再婚するのではなく、同棲生活を始める。一人で生活する時に抱える問題を同棲生活で解決しようとする。残りの人生を一緒に楽しむ時間を共有する友だ。どちらかが困ったら、助け合う。そんなつながり方を求める。再婚すると遺産問題がどうしても起きる。
お金が災いを親族と残った相手に生む。それを避けるには、契約の元で同居生活をすることだ。若い頃のような社会通念の結婚ではない。一緒に老後を楽しむための契約書を作り、親族の同意の上で同居生活を始める。残された人生は、お互いにとって短い。健康でいられる時間が短くなるからだ。健康でいられる時間の内にお互いの老後生活を充実させる方法を準備する。
新しい同居人との出会いが無い老人はどうすれば良いのか。
「孤独と孤立」と言う問題に直面しない方法を考える。元気で健康なうちに対策を考えて実行する事だ。私ならば、こんな対策を取る。健康で元気な一人生活を始める時にシェアハウスを探す。一人生活を余儀なくされた老人たちが集まるシェアハウスだ。困った時に皆で問題を解決する仲間だ。シェアハウスの住民との相性の問題はあるが、適応性に自信ある人は自分に合ったシェアハウスを探してみることだ。
自宅で一人寂しく生活をするよりも「生活する場に誰かがいる」という安心感があるシェアハウスだ。シェアハウスでの生活が身体的に難しくなったら、費用負担が軽いグループホームに身を任せる。それも難しければ、介護付き有料老人ホームに入居するしかないだろう。お金があればの話だが。
夫婦二人の生活から一人の生活になる事は、確かである。目に見えている未来がそれだ。夫婦二人で楽しんでいる「今」という時間は、有限だ。自分なりに一人になったらどのような生活をしたいかを夢見てみる必要がある。そんな夢を見る事が出来れば、今から心の準備が出来るはずだ。多くは、男性よりも女性が「孤独と孤立」の問題を解決する事になるだろう。
先に他界する男性は、楽勝かもしれない。
この記事「夫婦二人の生活から一人の生活になった時」のポイントは、
- 人生の流れは、独身>夫婦>家族>夫婦>独身という感じで移って行く。
- ある日ある時、どちらかが寿命を全うし旅立つ。あとに残された片割れは、また、独身の生活を始める。
- 夫婦二人の生活から一人の生活になる事は、確かである。目に見えている未来がそれだ。