定年退職後のシニアが情報難民になる理由?

86歳になる義母は、介護老人保健施設でリハビリを行っている。要介護5であるが、老健にお世話になって4ヶ月が立つ。最初は、ひどく、体が衰退していたが、2ヶ月後にはすごい回復ができて車椅子に乗れて動けるようになった。まだ、自分の足では立てないが体は確実に回復し始めている。

老健に義父、家内、私の3人で面会に行っているのだが、最近、義母からこんなことを聞くことが多くなった。

 「老健にいると話題が少ないの。食事時に話す内容が皆さんいつも同じなの。だから、話が面白くないのよ!」

老人全般に言えることだが、社会で発信されている情報は老人の耳に入ってくる量が少ない。老人が外部の情報に接するメディアは、主にテレビと新聞だ。今の世の中は、インターネット経由で発信される情報が多いし、最新情報になっている。その新しい情報メディアに繋がっていない老人は、時代に疎くなり始める。

老健では、新聞とテレビしか外部の情報に接することが出来ない。年齢的にスマホやインターネットを扱える老人たちではないので昔ながらの既存メディアしか情報は届かない。その上、老健に入居している老人たちが積極的に外部の情報を求める行動をしていない。与えられる情報しか受け取っていないのだ。

定年退職後の人生の節目の前に何をすべきなのか?

私が高校生の時、自分の将来像を夢見ていた。一流大学にに入学・卒業、そして、大手有名企業に就職という線路と駅が先に見えていた。この線路を走る電車にうまく乗り込めれば、両親も喜び、安心する。

でも、

会社を定年した後の路線や駅が見えていなかった。60歳、65歳で会社を卒業したシニアは自分で線路や駅を作るということに気がつく。

2つだけ見える駅がある。線路がなくても誰もが立ち寄る駅である。老後の生活を楽しむためには、自分で線路と新しい駅を作らないとだめだ。今見えている2つの駅は楽しめない。

65歳年金生活になった時に自分の時間をどう使うのか?

自分の時間を意識して使っているかどうか、シニアは問われる。シニアの時間は、若者たちよりも短い。短いから無駄な使い方はもったいない!シニアほど自分の人生に満足しているかどうかが問われる。定年退職をして、年金受給の生活に入り、子供のように遊び回れる時間を得ている。

私の兄は、今まで出来なかったことをやっている。友人と中国の西安を旅行している。中国を旅行するのはこれで2回目になる。今まで実家のビジネスを継いで仕事をしてきた。長期の旅行もできないほど働いてきた。70歳を前にして引退をした今、行きたかった場所に出かけている。制約された生活が長かっただけに今は自由になった時間を好きなように使っている。

私の兄のようにやりたい事が沢山あるシニアは、幸せだ!私は、兄とは違ってまだ引退していない。多分、引退はしないと思う。現役で好きな仕事をしているのが生きがいだからだ。

平日の午前中のスポーツジムは「寂しいシニアたちの憩いの場」になっていなだろうか?

今朝は9時30分ごろから近くのスポーツセンターのジムで筋トレをした。平日の午前中は、60歳以上のシニアの男女が大半だ。70歳代の常連さんたちがいる。常連さんは常連さんたちで一つのグループを作って寂しさを癒しているように見える

私のような一匹狼は、こちらから敢えて話しかけない。話しかけるとおしゃべりが始まり筋トレが始められなくなるほど続くからだ。

筋トレに集中したいシニアとおしゃべり相手を求めるシニアとに分かれる。スポーツジムはシニアにとって憩いの場になっている。筋トレという共通の目的で定期的に顔を合わせるからだ。

スポーツジム(区や市などが運営)は性別や年齢に関係なく利用される公共の場である。平日の午前中は、時間が自由に使える65歳以上のシニア男女が中心に利用している。夕方から夜にかけては会社員や学生が中心に使っている。週末は、シニア男女を除く人たちが多い。

健康ブームでスポーツジムが注目され、老若男女が身体を鍛えている。寂しいシニアにとってスポーツジムは肉体と精神の健康面で貢献する。私のように一人でビジネスをしている65歳のシニア男性にとって仕事を忘れる息抜きの場になる。

老後の生活を無駄にしないためにはどうするのか?

老後の生活で何を優先して過ごすかを考えて決めるだけで頭の中の迷いをはっきりさせる。自分が使える自由な時間が沢山あると今日は何をしようかで1日が始まる。やりたい事があるうちは、良いのだが次第にやることが無くなって行く。定職についていれば、仕事に行けば良い。もう、人の下で働きたくないと思っている高齢者ならば、今から「老後の生活の優先順位」を考えて自分の生活のリズムを作ることだ。

自分の仕事を持っている私でも時々毎日がつまらなくなる。そんな時は、これからの人生で何を重点的にやれば良いかを考えるようにしている。

会社を卒業したシニアは、外部からの刺激的な情報が入ってこない。自分で面白い情報や体験を求めないと社会から取り残されてしまう運命にある。