子供が大人になり自分でお金を稼ぐ社会人になる。私たちの世代、60歳代以上のシニアは子供に安定した定職についてもらいたいと願っている。会社を途中で辞めると言われると焦ってしまう。どの家庭でも子供が独立して人生を歩み始めると起きる良く聞く話だ。
子供たちは、自分の人生を模索している。
母船から小舟で大海に出ようとする!親たちは、心配で仕方が無い!
私が社会人になった時代は、高度成長期で雇用状態は良かった。働き口は捜せばあり、正社員で雇用された。先輩たちの出世や待遇を見れば、自分の将来設計も予想できた。
2016年の時代は、若者たちの苦難の時代だ。正社員になれる、なれないだけで年収の額や待遇も最初から違ってしまう。さらに、将来ずっとその会社で働けるという保証が無い。年功序列の仕組みが壊れて終身雇用制度もなくなった。自分の人生を自分で開拓する時代に入った。
そんな時代の違いを私たち親たちは肌で感じ始めている。子供が会社を辞めて何かを始めようとすると不安が先に立つ。親としては当たり前の反応だ。時代は大きな変化のまっただ中にいる。70歳代の年金リッチの世代とは違って年金だけで生活が成り立たない60歳代のシニアが多い。
働き続けないと生活が出来ないという現実に直面しているシニアたちだ。それは、子供たちが自分たちの将来を模索するのと同じ状況にある。
昔から言われることは、「親は子供をじっと見守る」だけ。大人になった子供は、自分で自分の人生を開拓していかないとこれから生きていけない。私たち自身も親から離れて自分の人生を切り開いてきた。
親は時間と共に弱くなっていく。お金の面も体力の面も。自分の子供たちが自分の人生を切り開いていくのを見守るだけになる。
昔のように将来設計の見取り図(会社の中で出世する)が崩れていっている。若者たちは、社会構造の変化を敏感に感じ、寄らば大樹の陰的な人生に依存しない選択を見始めた。20代から30歳代の若者たちの年金は、現時点で当てにならないと言う情報が知れ渡っている。
自己防衛が若者たちのマインドに生まれるのは当たり前だ。多くの若者は、変化の激しい社会構造の中で私たちとは違った挑戦を若いうちにしようとしている。起業への挑戦だ。自分で生活費を稼げるようになりたいという自己防衛と自己実現だ。
折角入社した会社を辞めると言うことに親たちは、最初からネガティブになっている。子供の話を聞いてからその判断をすべきだろう。多くのケースは、両親に子供が相談する前に会社を辞めてしまう。そうでないケースであれば、子供の話を良く聞いて子供にとって最善である道を一緒に模索する。
色々とした準備をして若いうちに起業経験をしたいという若者たちがいる。会社は昔から若い社員の牙(自分の人生を自分で開拓する意欲:独立)を削って行く。組織の歯車として育て上げる。そこには、その若者の独立を止めさせる安心、安全、餌を用意する。若者をずるずるずると安易なサラリーマン生活に導いていく。
安定した給与と会社生活に慣れ始めると自分の人生を敢えてリスクを取って開拓する気持ちを弱める。目的を持って会社で働くならば、良いが多くの若者はお金と安全な会社員生活に甘んじる。
今の時代は、自分たちの子供たちにこんな選択を求めている。
1.自分で自分の人生を切り開く起業の道
2.会社組織に委ねた道
この選択肢は、私たちが若者であったときにもあった。でも、1を選択する人は少なかった。今も、2を選択する人が多いが将来設計に不安を覚えている。機会あれば、1の選択肢に挑戦してみたいという気持ちがある。それを肌で感じている若者たちが多い。
子供が会社を辞めて自分で期間を区切って若いうちに起業挑戦をしたいという気持ちは理解できる。20歳代で起業するのと60歳代で起業するのでは、リスクの程度が違う。期限を区切って挑戦するならば、20歳代の若者の方が将来性がある。失敗しても雇用先は見つかる少子高齢化の時代だからだ。
60歳代のシニアが起業に挑戦すると失敗した後の身の振り方を事前に準備していないと目も向けられない悲惨な状態になる。シニアが起業するときの必須条件は、撤退後の身の振り方を事前に準備しておくことだ。