50歳代に準備する生活設計、生きる選択肢を増やす

大企業が経営で苦しんでいる。その苦しみが社員の生活に影響している。人件費削減の嵐である。給与額が高い40歳から50歳代の社員はリストラ対象になる。コロナ感染、ウクライナとロシアの戦争、中国の覇権主義など日本の経済に悪影響を及ぼしている。

中小企業はコロナで借金が増えてその返済に困っている。今年からは個人事業主を対象にインボイス制度が10月から施行される。プラスよりもマイナス要因が社会に生まれている。起業の数よりも倒産の数の方が大きい。物価が安い日本を海外の投資家が買い漁っている。実態を越える不動産高騰で東京圏では一戸建やマンションが買えなくなっている。

住宅ローンの支払と子供の高等教育費の負担が一番大きい50歳代の労働者は自己防衛に備えなければならない

悲しい話だが、21世紀になって日本の古き良き経済や雇用環境が崩壊してしまった。その上、少子高齢化の影響で飲食業界、介護業界、建設業界などで人不足が深刻になっている。生活をする上での不安定要素があちらこちらに顕在している。

住宅ローンの支払と子供の高等教育費の負担が一番大きい50歳代の労働者は自己防衛に備えなければならない。経営者は経費削減で一番効果がある人員整理をする。給与の高い中高年をリストラして給与の安い若い労働者を雇う。そこには中高年社員への温情はない。会社には背に腹を変えられない事情があり、それを最優先する。

この会社は大丈夫と思っていても大丈夫でないケースが多い。黒字経営の会社であっても意図的にリストラをする。米国的な首切りが日本の社会で広まっている。政府は労働者の流動性を促すために転職を推し進める。売り手の労働者にとっては好都合な環境になるが、多くの会社員は職の不安を覚える。今の会社で定年退職を迎えるという予定で生活設計をしていたのにそれが出来なくなる社会になってきた。

いつリストラに会っても良いように生活防衛をする!

今50歳代の方は60歳以上になったときにどのような生活を送りたいかを考える必要がある。10年あればそれなりに準備が出来る。高齢者は何か尖った専門分野の経験と知識、さらに、技術が無いと仕事が見つからなくなる。体力がある若者たちとの競争に勝つには若者たちの弱点(専門分野の経験と知識、そして、技術力)を狙うしか無い。

専門分野を自分の物にするには時間がかかる。お金のためだけで追求できない。そこには面白さ、好奇心、向学心、楽しさなどの要素が必要になる。

何かあった時に向かうべき方向が明確であれば不安で悩む事は無い

リストラに会っても自分が新しく向かうべき方向が分かっていれば、その方向で新しい人生設計を考えられる。将来の不安で悩まされる現在を打開するには定年退職の年齢が来るまでに第二のキャリアの準備をする事である!

備えあるところに憂い無し」である。

自分の専門分野が見つからない人が多いかもしれない!そんな時はこんな視点で捜してみる

(1)自分が好きな事、(2)得意な事、(3)やってみたい事。この3つの視点で自分の専門分野を探索する。時間は10年あるから焦らない。50歳代の人は忙しい。でも、月何回か居酒屋で愚痴をこぼしているならば、その時間を自分のセカンドキャリア構築に当てるべきである。これをやる、やらないだけで定年近くになった時に顕著な違いが出る。経験者は語る。

自分の立ち位置を自覚する事

50歳代の会社員は目の前にある崖をベールで目を覆い被されている。それを感じているのだが、そんなことはあり得ないだろうと思考を止めてしまう。現実は崖が目の前にある。いつ、その崖に押されて落ちても不思議では無い。会社員の生活は会社にぶら下がっている生活である。自分の力だけで生活費を稼いでいない。会社という組織でお金が生まれている。

会社は特徴がある社員で役に立つと判断される中高年を会社に引き留める。普通の能力や経験の高齢者は60歳の声を聞いた時点で商品価値が無くなる。社員は部品である。絶えず、取り替えがきくように新卒を入れている。その事実を分かっているのにそれを認めようとしない。

本当にその現実を分かっている50歳代の会社員は60歳になる前までに自分の能力に磨きをかける。専門性を高めるための勉強、経験、お金稼ぎの挑戦をする。会社の名前や組織力に頼らないで自分の名前だけでお金を稼ぐ挑戦をする。最近は副業や兼業を許す会社が増えてきている。リスキリングという言葉が会社の中で歌われている。

生きて行く上での選択肢を増やす

自分でお金を稼ぐスキルと知識がある人材ならば、その力を使って会社の売り上げに貢献できる人材であると会社は判断する。いざという時に自分にはそれが出来る力と経験があると示せるようにする事が重要になる。10年間という時間を使って自分の能力を再構築できれば、生きる上での選択肢が増える。会社で再雇用されるか、再就職するか、自分で事業を起こすかという選択肢である。

これまで話してきたことは一度や二度は耳にしたことがあるかもしれない。ほとんどの人は聞くだけで何もアクションを取らない。どんなビジネスでも最終的に行動した人が勝つ。分からない事に挑戦した人は分からない事を経験から理解できる。経験していない人はいつまでたっても分からないままになる。

私は既に68歳である。あと2年間を使って70歳以降の生活設計を考えている。年金プラス個人事業の仕事で今は生活をしている。60歳代と70歳代では老化の影響で生活が変わってくる。老後の生活を楽しむには老化現象で失うものを受け入れながら新しい事に挑戦するしか無い。生活を楽しむ選択肢を増やすことで残り少ない人生を味わえる。

結論

60歳、65歳になると会社を卒業する。50歳代の会社員は問題なく定年を迎えると信じ込んでいるが、そうではない変化が社会で起きている。リストラはどの会社でも起きる。黒字経営を続けている会社でも意図的に中高年をリストラする。50歳代の会社員はその対象になる。そんなリスクを意識して自己防衛をする必要があるのだが、そのリスクを考えようとしない。

個人ができるリストラ対策はリストラされても前向きに生きて行ける選択肢を増やすことである。