亭主元気で留守がいいと妻は願うが定年退職後の夫は自宅にいる

「亭主元気で留守がいい」というCMコピーが頭に残っている。結婚して夫は会社にいて自宅に帰ってくるのは夜だけだ。妻は昼間を自分の時間にできる。そんな生活パターンが何十年も続いていたら、その生活パターンをすぐに変えられない。定年退職後の生活は、妻の生活パターンに大きな変化をもたらす。

「亭主元気で自宅にいる」という大きな変化だ。 

定年退職後の男性は生活力と夫としての威厳を失う!

夫の給与で生活を続けてきた妻は、お金を稼ぐ事が出来なくなった夫をどう見るだろうか。退職金で直ぐには困らない生活が出来るが、人生は長い。「亭主元気で留守がいい」という生活を継続させるには、夫に仕事をさせるしかない。夫も同じ思いだろう。お金を稼げなくなっている自分を情けなく思っているはずだ。

生活力がある男性は、女性にとって自分たちの生活を保障する男性になる。60歳以上の夫婦は、妻が専業主婦である場合が多い。夫が稼いでくる給与で生活が回っていた。自営業者は、夫婦共稼ぎの場合が多いかもしれない。どちらにしても生きて行くには、生活力がある男性でないと女性は大変苦労する。

夫が元気で長生きをしないと年金の恩恵を妻は受け続けられない

妻だけの年金と遺族年金の額は、妻の老後を不安にさせるからだ。金額が十分でない場合が殆どだ。だからこそ、出来るだけ長く年金が受け取られるように夫に長生きをしてもらいたいと思っているはずだ。まさに「亭主元気で留守がいい」である。

60歳代のシニアは、仕事が半分生き甲斐になっていた人生を送ってきた。定年退職後は、新しい生きがいを見つけて自分でお金を稼ぐスキルを身に付ける必要がある。会社にぶら下がって給与を頂いてきた会社員にとって組織に属さず自分一人でお金を稼ぐのは難しい。

その難しさを妻はどれほど理解できているのだろうか。お金はすぐには稼げない。妻たちは、夫たちにとにかく働く先を早く見つけてほしいと懇願する。新しい職場を探すにしても高齢者を雇ってくれる会社は限られている。年齢が60歳から70歳代に移ると働いているシニアの数も急激に減少する。このチャートを見てほしい。

labor stat2014(引用先:ニッセイ基礎研究所

60歳代で就労している男性は74%。これが70歳代になると31%に急落する。

男性は、お金を稼いでくれば自分に自信が持ち、それなりの威厳も維持できる。年齢が増すに従い働いてお金を稼ぐということで威厳を維持することができなくなる。妻は、そのことを理解する必要がある。生活力がある夫でいてほしいと願っても年齢制限がある。

妻も元気ならば、お金を稼ぐということを考える時代になってきている。 最近、スーパーやファストフード店で働く年配の女性を多く見かける。夫が稼げなければ、妻が稼ぐという役割交代が生まれてきているのかもしれない