「体が思うように動かなくなった」をテストする70歳男性

出勤途中の住宅街で80歳近いおばあさん二人が挨拶をしていた。その言葉が、頭の脳裏に残っている。

 「体が思うように動かなくなってね〜!困ったものだわ。」

この言葉は、誰もがこれから経験する老化現象になる。63歳の私でも体が思ったほど動けないことに気がつく。駅の階段を一気に上がると2,3分後に息が切れ始める。体が、酸素が足りないからもっと呼吸しろと言い出す。昨日、千代田区スポーツセンターの8階で会議があった。8階まで階段を上がった。

6階から呼吸が苦しくなり、息が切れ始めた。8階まで上がったら、しばらく息がもとに戻るまで下を向きながら呼吸していた。若者ならば、こんなことはないだろう。体は思ったほど体力を維持できていない。 

老人になると普通の人ができて当たり前のことができなくなる!

一度腰を下ろして座ったら、自分の力だけで立ち上がれない老人を見たことがあるだろうか。一度立ってしまえば歩けるのだが、腰を下ろしてしまうと立ち上がれないのだ。普通の人ならば、こんな問題に直面しない。私でもそうなるとは思っていないのだが、年齢が80歳を過ぎると足腰の筋肉を失い、立ち上がるのに必要な脚力を維持できなくなる。

老人の体は、なぜ、そんなに弱くなるのかと若い人は不思議に思う。老人の体を味わっていないからそれが分からない。70歳になり、子供の頃は逆立ちが簡単にできたのに今は本当にできるのか分からない。大人になって逆立ちなんかやることがないから分からないだけかもしれないが、体が逆立ちの感覚を思い出すまで時間がかかるだろう。

40歳以降の男性に鉄棒で懸垂が何回できるか試すと良い。殆どが、1回出来れば良いほうだ。50歳を過ぎるとこれがゼロ回になる。懸垂をする腕の筋力が年齢とともに衰えてしまうからだ。自分の体重を引っ張り上げるだけの筋力が維持できていない。

70歳の体:片足立ちで靴下を履くことができるか、できないか?

片足立ちで靴下を履くことができないシニアは、体のバランス感覚が衰えている。足の指とふくらはぎの筋力が弱いために体の傾きを支える力が足りない。さらに、体幹のちからが弱いと体全体を支えられなくなる。私も老化現象として体のバランスが悪くなってきたと感じていた。

そこで、片足立ちで靴下が履けるかどうかをテストしてみたら、見事に失敗。

今は、問題なく片足立ちで靴下が履けるようになっている。私がやったことは至って簡単な方法だ。毎朝、洗面所で歯を磨くときに片足立ちで磨く。歯ブラシを動かすたびに体が揺れる。その揺れに耐えられるように片足立ちで立ち続ける運動である。右足から始めて左足が床についてしまったら、今度は左足で片足立ちでをする。

バランスが取れなくて足がついたら、その度に別の足で片足立ちを歯を磨いている間だけやり続ける。ただ、それだけで体のバランス感覚が戻ってくる。

70歳の体:寝た状態で手を使わずに足だけで立ち上がれるか?

リビングルームで寝転んで手を使わずに足だけで立ち上がれるかやってみた。まず、腹筋がないと手を使わずに上半身を起き上がらせることができなくなる。

上半身を起きらがせたあとは、足だけであぐらを組んでその状態から立ち上がる。または、正座の状態になって片足を立て立ち上がる。頭を前に倒して両足でしゃがむ状態になればあとは立ち上がるだけである。

すんなりとはできなかったが、腹筋力があるので上半身を簡単に起き上がらせることができた。あとは、あぐらを組んで前かがみになって片足を立てながら勢いをつけて立ち上がった。あぐらの状態から直接立ち上がることもできる。

腹筋力と足の力がここで試される。

70歳の体:腕立て伏せが何回できるか?

筋肉の低下は足だけではない。上半身の筋肉も衰えていく。自宅でつまずいて転倒した経験がある人は多い。その時、腕の力が足りないと転倒したときに自分の腕の力で体を支えきれない。支えきれないと顔に怪我をする。

自分の上半身の体重を支える腕の力があれば、転倒したときに腕の力で転倒の衝撃を和らげられる。腕立て伏せが10回以上できれば、まだ腕の筋力はそれほど衰えていない。

しかし、70歳シニアの筋力は腕立て伏せ10回ができるレベルになっていない。筋トレを定期的にやっているシニアならば問題なくできるのだが、一般の人は体の筋肉を鍛えることをしていない。

男性

年齢 良い結果 平均的な回数
20代 30回以上 15〜20回
30代 25回以上 13〜19回
40代 20回以上 11〜14回
50代 15回以上 7〜10回
60代 10回以上 5〜11回
70代 8回以上 3〜8回

 

女性

年齢 良い結果 平均的な回数
20代 20回以上 8〜15回
30代 15回以上 6〜10回
40代 12回以上 5〜8回
50代 10回以上 3〜6回
60代 5回以上 2〜4回
70代 3回以上 1〜3回

 

70歳の体:三角倒立ができるか、できないか?

三角倒立は、小学校の体躯の時間にやった覚えがある。中学時代は、倒立だ。問題なくその当時はできていた。大学生になっても全然問題がなくできた。社会人になってから三角倒立や倒立をする機会がなくなり感覚が消えてしまった。三角倒立も倒立も腕の力と体幹の力が求められる。

普通のシニアならば、ほぼ全員ができないだろう。何らかの運動習慣を身に着けているシニアならば、ちょっと練習すれば三角倒立も倒立もできると私は思う。 

20歳代、30歳代の息子たちは、上記の3つのことが簡単にできてしまう。70歳の私は、気を引き締めて構えながらやらないとできない感じだ。

老いてくると目が悪くなる。近視、遠視、乱視、緑内障で視野が狭くなったり、白内障で視界が白くぼやけたりして駅の階段を素早く降りられなくなる。私も緑内障で視野を失い始めているため階段を降りるときは気をつけている。

老いから来る体の不自由は、体全体から生まれる。五感も含め筋肉も弱体化し始める。それが気づくのは、還暦を過ぎた年齢になったときだ。私が50歳代のときは、体の老化を意識することがなかった。なぜ、老人が足を引きずりながらゆっくりと歩いている原因を理解できなかった。

老化からくる体の不自由さが、老人たちの共通の話題だ。同様な体験をするから足の挨拶が 「体が思うように動かなくなってね〜!困ったものだわ。」となる。 

結論

  • 「体が思うように動かなくなってね〜!困ったものだわ。」と朝の挨拶を交わすおばあさんたちがいる。
  • 老人になると今までできていたことが出来なくなっている自分の体に驚く。
  • 片足立ちで靴下を履くことができないシニアが多い。体は確実に老化していっている。