定年退職を迎えるシニアが今読むべき本、楠木新「定年後」(中公新書)!

私のウエブ読者から一冊の本を紹介された。楠木新「定年後」(中公新書。書店で一寸立ち読みをした。書いてある内容の大部分が私が感じていた事と重なっていた。

定年退職後の世界は、人それぞれの人生だ。定年退職を楽しみにしているシニアは既にやりたいことを準備している。何をやったら良いか迷っているシニアは、楠木新「定年後」(中公新書)を読んでみると良い。これから自分が経験することが書かれている。嫌な経験を彼が代弁している。

楽しい定年退職後の生活を送りたい人は、会社を離れた自分一人が何をすべきかのヒントをこの本から学ぶべきだろう。

自分の人生設計がある、ないで定年後が変わる

50歳頃から会社を離れた自分の人生を設計してみる。その時、定年退職後に何が起きるかを知っていると今から準備が出来る。今50歳代であれば、まだ、時間的な余裕がある。焦らないで地道な定年退職後の人生を設計できるはずだ。

会社任せの人生設計

会社勤めの長い人は、自分の人生設計の大部分を会社に任せている。自分で「自分の人生設計」を作っていない。この代償が定年退職後の生活に降ってくる。多くの定年退職者は、住み慣れた職場環境を切望する。転職に挑戦するにしても自分の人生を代わって作ってくれる会社を選ぶ。

60歳を過ぎて会社組織を離れた人は、自分一人で生きて行く事に不安を感じている。自分で残りの人生を設計し直す事に戸惑いを持つ。会社組織に頼る習慣を急に自分を頼るに変換できない。

寄れば大珠の影の影が無くなったのである。頼れるのは自分だけという余生が始まる。大学卒業後、直ぐに入社した会社で何十年もお世話になっていると一人で生活費を稼ぐという事に不慣れになる。本当に自分一人で生活費を稼ぐ事が出来るのだろうかと不安に襲われる。

シニア起業という人生設計

自分でビジネスを起こすことに自信がない。未経験という要素が足を引っ張る。60歳から数年は、自分で生活費を稼ぐためのインターンを経験すべきだ。友人や知人と一緒にベンチャー企業を設立して失敗を経験することである。自分でビジネスを興すには、ビジネスの失敗経験が必須。失敗から多くのビジネスヒントを学べる。

自分への自信は、失敗を乗り越えて何度も挑戦する過程で生まれてくる。今、50、60歳代のあなたならば、副業を始めてみる事を勧める。副業でお金を稼げるようになると自分に自信が持てるようになる。副業を始めたからと言ってすぐにお金は稼げない。副業で失敗しながらビジネスのコツを学ぶしかない。

ビジネスの成功者のセミナーや書籍は、100%自分のビジネスに生かす事は出来ない。本当に必要な知識は、自分の失敗体験から得られるからだ。やってみて自分に欠けている部分が見えてくる。

副業を経験していない普通の会社員はどうなるのかを描く

楠木新「定年後」(中公新書)は、50歳代に副業を経験していない普通の会社員を描いている。この本に描かれたような生活を送りたくなければ、今から自分で生活費を稼げるスキルと知識と経験を身に付ける準備をすることである。

頭で考えているだけでは何も始まらない。興味を持つことから行動を起こす。行動しながら自分が本当に追及してみたいビジネステーマが見えてくる。テーマが見えてくれば、後は深堀するだけだ。その後で副業計画を作り、実行する。良い失敗を経験することを目的とする。

最初から成功を望んでも良いが、思うようにはいかない。多くは失敗する。それが実業経験がない会社員の実力だからだ。失敗して自分が欠けている要素を見つける。多くは、お客を見つけられなくて失敗する。営業力不足が足を引っ張る。失敗した原因が分かれば、失敗しないようにするにはどうしたら良いかを考えればよい。

コロナ禍で大企業もリストラしている。コロナ禍の悪影響で経営が悪化し、倒産に追い込まれる会社も多い。会社におんぶに抱っこの会社員は副業に挑戦すべきだ。何もしないで世の流れに漂っていると会社があなたを捨てる。もうすぐ、会社は倒産するという仮定で自分の人生設計を考えて見る価値はある。

結論

楠木新「定年後」(中公新書)は、50歳代に副業を経験していない普通の会社員を描いている。会社に任せている人生設計に頼ることが出来ない時代になった。コロナ禍でリストラが多くの企業で起きている。副業や兼業を奨励する会社も増加している。定年を迎える前に会社を強制的に卒業させるムードが世の中にある。

会社に頼らない自分の人生設計を作り直すタイミングが今である。会社に頼ることができなくなったら、自分に頼るしかない。自分の力とリソースで生活費を稼ぐ新しい人生設計を準備する。