高齢者は食べるものにお金を使う傾向が高い

働き盛りの頃は、いつもお金のことを気にしながらランチのお店を探していた。500円から1000円の間でボリュームがある比較的美味しいお店だ。これが、60歳を越えるとランチで食べるものが高級になるというか、値段をあまり気にしなくなる。「味と質」そして、お店の雰囲気に目が行くようになる

横浜駅ジョイナスの地下1階や2階にレストラン街がある。高級そうな和食店には、シニアの男女が多い。特に、ウナギ店には90%以上がシニアのお客だ。 

高齢者はお金持ち?

私はいつも仕事場としてスターバックスを活用する。スターバックスにくるお客の大半は、20歳代から40歳代の人たちが多い。コーヒー1杯の価格がそれほど高くないということと雰囲気が若者風だからだ。コーヒー1杯の価格が低くなると面白い事に高齢者の男性が多くなる。

一方で価格が高いコーヒー店では、シニアの女性が増える。シニアの女性が大勢はいるカフェは、必ず、美味しいスイーツ(ケーキ)がある。

横浜駅ジョイナス地下街にあるカフェ・ラ・ミル店は美味しいミルフィユケーキと独特の店内装飾で有名だ。朝から夕方までシニアの女性たちが押し寄せて会話に励んでいる。ケーキセットは、1,000円から1,500円前後。コーヒー1杯も500円以上だ。若者たちが頻繁に入るカフェではない。

私も特別な事情がない限り仕事場として使わない。シニアの女性たちの会話がうるさいからだ。

ランチ時間帯に色々な飲食店を物色するが、並んでいない飲食店は単価が高い。なのにそこにシニアのお客がたくさん入っている。なぜ、シニアのお客が単価の高い飲食店を利用するのだろうか。60歳を越えてからその理由が段々と分かり始めた

単純にお金があるからという理由ではない。お金よりも美味しさと味を感じられる年齢のうちに「美味しい食べ物」を食べておきたいということだ。量には関心がない。味と質だ。

ゆったりとした空間で時間に押されない雰囲気のお店で美味しい食べ物をいただきたい!毎日、そんな外食をするのではなく、何かの機会に夫婦で外出した時にそんなお店で食事をしたいのだ。今までのランチは、設定した金額以内でランチを探していたがその考え方が変わった。ランチの金額制限を取り外して今までに入っていないお店や食べていない食べ物という視点だけでランチを探すようになった。

昨日の日曜日は、前半の連休最後の日であった。夫婦で平塚にある寒川神社に行って来た。「八方除け」で有名な神社である。イベントがない日であったので参拝客はまばらでゆっくりと神社内を見て回れた。ランチは、歩いて10分のところにある和食のお食事処でいただいた。一人1500円ぐらいかかった。

まあ、夫婦でランチを外食するときは、一人1,500円から2,000円ぐらいになる場合が多い。ゆったりとした店内と落ち着いた雰囲気の部屋で和食料理を楽しんだ。都内では味わえない新鮮な海産物のメニューであった。

高齢者たちには、普通の生活ができる時間が限られている。五感も衰えていく。美味しい食べ物も美味しいと感じなくなる年齢が近づいている。お金で買えて楽しめるものが老いに従って制限されてくる。体が老化してくるとお金が役に立たなくなる。

すべての原因は、老化による体の衰えにある

お金を使って楽しめる年齢は、健康な体を維持できている時しかない。健康を害したらお金は治療費以外に役に立たない。老人たちが高級なお店でカフェや食事をするのにはこんな背景がある。みんながみんなお金持ちではない。生きている間に悔いが無いよう美味しい食べ物を楽しみたいからだ。

夫婦で一緒にいる時間も限られる。一緒にいるときは、できるだけ楽しい時間を過ごしたい。食事をするときがそんな時だ。広々としたお店でゆっくりと美味しい食事をする。シニアになったらそんな時間の使い方が増えてくる。誰もが出来るものではないが時間とお金があれば月に1回ぐらいはできるだろう。貧困状態でなければ。

普通の生活が維持できるシニアならば、月に一度はお金を気にしないお店で「質と味」を楽しめるランチをしてはどうか。