老健に入居している義母の様子を見ていると長生きのコツが見えてくる。彼女が老健に入居したのは85歳の時である。老健に入った原因は自宅での転倒で頭と背骨に怪我をしたためである。このために6ヶ月以上、介護ベッドでの生活になってしまった。老人が自宅で転倒して自分で動けなくなるケースは多い。
転倒して介護ベッド生活に入る前の義母は、歩く時によろよろして杖が有っても不安定な歩き方をしていた。もう既に足の筋力が相当弱まっていた。転倒した原因は足の筋肉の衰えと低栄養状態の体であった。
多くの老人は、転倒して介護ベッド生活になり、足の筋力が減って動けなくなる。若い人ならば、リハビリを1週間ぐらいすれば元の状態に近づくのだが、老人の場合はかなり難しい。老人が転倒したら、普通の生活に戻れない可能性が高い。
現在は老人ホームに入居して96歳になる。脚力は車椅子から立ち枯れる程度まで落ちている。移動は完全に車椅子。脚力の低下で車椅子からベッドに移る時に床までずり落ちることが何度も起きている。自分の足で動くことが不自由になると第三者が手助けをしてくれる環境でないと生きていけない。
70歳の私は週2回のスポーツセンターでの筋トレで上半身、下半身、体幹を鍛えている。特に脚力は重点的にバーベルスクワットで普通以上の負荷を与えて鍛えている。長生きの基本は脚力の維持である。認知症になってしまったら、脚力があってもそれがマイナスに働く場合がある。徘徊する老人は脚力があるからだ。
長生きの基本は脚力の維持と栄養バランスの取れた食事である。脚力の維持は老後の生活を快適にする。
長生きのコツは転倒しないための脚力を維持すること!
動物でも人間でも自分の足で動き回れなくなった時が死を迎えるターニングポイントになる。動物の場合は人間と違って介護してくれる動物がいない。人間の場合は、介護してくれる施設や家族がいるのだが年齢が70歳を越えていると足の筋肉をリハビリでどれほど回復できるかで決まる。
義母のように85歳を過ぎている老人の場合、体の基礎体力が低下しているため足のリハビリをする前に食事療法で栄養を体に与えなければならない。血液検査で普通の人のレベルまで回復させてからでないとリハビリに耐えられない。
体を元に戻すには、食事療法でタンパク質を筋肉に変える材料を与えながら足で歩くトレーニングを始める必要がある。老人の場合、寝て食べてトレーニングするというステップですぐに体力が回復しない。時間がかかる。体に何か疾患を抱えているとその治療をしながらリハビリとなるのだが、治療が体に負担になってしまう。
70歳以上の高齢者が転倒し、介護ベッド生活を始めたら
足の筋力が弱まる前にリハビリを始めること。一度、老人が足の筋力を失い始めると足が骨と皮になり始める。できるだけ、介護ベッドから起きて家族の支えで自宅を動き回る訓練をすべきである。
介護ベッドから動けない生活が半年続けば、確実にあなたの足は骨と皮になる。筋肉を失う。失われた筋肉を回復させるには時間と気力が必要になる。それが普通の老人はできない場合が多い。
歩いて転倒しない脚力を身につける事ができれば、何歳になっても大丈夫。自分を不自由なく動かせる脚力があれば、転倒しないように気をつけるだけである。
転倒すると怪我をする老人
一般的に歩く時に足を上げる筋肉が衰えてつまずき転倒する。原因は足を上げる筋肉だけにあるわけではない。転倒しても足で素早く踏ん張れる力があれば、転ばない。足全体の力が衰えているから転倒してしまう。70歳の私も歩いている時につまずく時があるが、傾いた体を素早く元の姿勢に戻せる足の力がある。
なぜ、それが出来るのか?
いつも体を動かしているからだ。私の毎日の生活は、朝夕の通勤で丘にある自宅から最寄りの駅まで片道2キロを10キロのリュックを背負って歩いている。週2回の筋トレを近くのスポーツセンターで行っている。階段は出来るだけエスカレーターを使わない。疲れていなければ、自分の足で階段を昇り降りする。そんな生活習慣が身についている。
体を毎日動かしていると色々な筋肉を使う。使われている筋肉はとっさの時に直ぐに使える状態にある。体の重さに筋力がついていっている。懸垂や腕立て伏せを定期的にやっている人は自分の体重を上半身の筋力だけで上げ下げできる。スクワット運動を毎日やっているシニアは腰を下げてもすぐに立ち上がれる。
シニアは基本的体力として自分の体を自由に問題なく動かせる筋力が求められる。毎日自分の畑で農作業をしているシニアは意識しないで体を動かしている。その活動が身体の筋力を強化させている。体を農作業で動かせば自然と食欲が増す。食事量が増えて必要な栄養素を摂取できていれば、体はそれに答えてくれる。筋肉量を増やし、負荷に耐えられる体力を作ってくれる。
毎日体を動かす運動を生活のリズムの中に取り込む
長生きをしたければ、転倒しない足と体力を身に付けることである。そのためには、毎日体を動かす運動を生活のリズムの中に取り込むしか無い。
毎日体を動かす運動としてラジオ体操がある。これを毎日行っていると自分の体を動かすことに慣れてくる。バランスが崩れそうになっても直ぐにバランスを戻せる。毎日の運動がそれを助けてくれるからだ。強制的に体を動かす運動を生活のリズムの中に組み込で転倒から身を守るしかない。
子供が転ぶのと老人が転ぶのでは、怪我の程度が違う。子供は転んで擦り傷を負い泣く程度。老人は骨折して救急車を呼ぶことになる。前に転んで両手で体を支えようとしても腕の力で体の重さを支えきれない。地面に顔をぶつける。運動をしていない体は骨ももろくなってきている。ちょっとした衝撃で骨折する。筋肉と骨は相互依存関係がある。筋肉を鍛えると骨も同時に鍛えられる。
私は体を鍛えるために意識してやっている生活習慣がある。平日の通勤時にエスカレーターやエレベーターを使わないで階段を使うこと。週2回スポーツセンターで2時間程度筋トレを行うこと。歩く時に重いリュックを背負って早足で歩くこと。出来るだけ自分の体を楽にさせないこと。その結果、毎日の歩数が平均して1万歩近い。10キロのリュックを背負って毎日1万歩歩く体力が生活習慣で身についている。
シニアは意識して体を活発に動かす生活習慣を見つけることである。奥さんが嫌がる家事の力仕事を代わりにやってあげることで体を定期的に鍛えられる。同時に奥さんを喜ばせる。
結論
体の自由が効かなくなる年齢になる前に定期的な運動習慣を生活のリズムに入れることが長生きのコツだと私は思っている。