スポーツセンターのジムで筋トレをしているとシニア、高齢者、老人の体形を見ることが出来る。60歳代の男性や女性、70歳代、80歳代の人たちの体形は Out-of-Shape(体型が崩れている)である。運動を定期的にやっている人とやっていない人では、雰囲気が違う。肥満体のシニアならば、顔と腹を見ればすぐに分かる。とても、健康的な体であるという印象を周りの人に与えない。
体が細くなっている人は、風が吹けば飛びそうな風貌をしている。手足に筋肉が少なく、骨と皮が目立つ。シニアの体は、気が付かないうちに少しづつ変貌して行っている。60歳代のシニアは、まだ、若い。若いから老化による体の変化に気が付きにくい。普通の生活では、特別な動作をしない限り老化による体の変化に気が付かない。
私が仕事で会う同年代のシニアからいつもこんなコメントを頂く。「あなたは、腹が出ていないねえ!」こんな言葉を出すシニアはシニアはお腹が出ているのが当たり前と思っているフシがある。経営者仲間にお腹が出ていない人がいない。
仕事のお付き合いで暴飲暴食になっている。一方で年金生活に身を沈めたシニアたちは体を動かすことが少なくなり、姿勢が悪くなる。猫背の姿勢になっている。横浜駅を昼間歩いている高齢者を見ると姿勢が悪い。前屈みで歩いている。目的がない歩き方をしているため歩き方に力を感じない。
シニアの体は年齢とともに崩れていく。
シニアほど体形から健康管理の程度が分かる
60歳代の仕事仲間で腹が出ていない人は非常に少ない。暴飲暴食をしているシニアは、一度や二度大病で入院を経験している。多くは、中肉中背なのだが、ビール腹のように腹が出ているのが目立つ。
肥満のシニア
シニアで肥満気味の体形をしている人は、顔がふっくらとしている。顔を見ただけで体全体が引き締まっていない印象を受ける。お酒好きのシニアは特に肥満気味の人が多い。お酒はカロリーが高い。お酒と一緒に食べる食事も肥満を増長させる。
スポーツジムにやってくるシニア男性の殆どが、お腹の周りが目立っている。何らかの運動習慣を身に着けているシニアの体は、お腹はあまり出ていない。余分な脂肪が少ないからだ。肥満が生活習慣病に導くことを認識しているが、自覚がないために何も対策を取らない高齢者がいる。人間ドックを受けた後の結果レポートを見て慌てる。
「あなたは生活習慣病の予備軍です。または、生活習慣病になっています。」とコメントされる。それで慌ててスポーツジムで筋トレを始める。
姿勢が悪くなるシニア
60歳代のシニアで体が細い人は、食生活をタンパク質中心に切り替えて定期的な筋トレをしないと70歳代になった時に姿勢が悪くなる。筋肉が弱くなると骨と筋肉で姿勢を保っているバランスが崩れるからだ。典型的な体形が「猫背」である。腹筋が弱くなれば、細くてもお腹が垂れて出っ張る。
シニアは体幹を鍛えなさいと言われる理由は、姿勢を悪くするのを防ぐからだ。姿勢が悪いシニアは、見ればすぐに分かる。悪い姿勢は、健康に悪影響を及ぼす。今は問題ないが、10年後には大きな問題をもたらす可能性がある。
姿勢を治したいシニアに助言したい。懸垂を毎日やること。ほとんどのシニアは懸垂が1回も出来ない。それでも懸垂の真似事をすることである。懸垂が1回出来るようになれば、上半身の筋肉全体が鍛えられたという証明になる。懸垂が出来るよう毎日やれば、1年後には姿勢が治っている。ポイントは5分でも10分でも良いから懸垂を続けること。
懸垂は体幹を含めた上半身の筋肉全体を鍛える。シニアの姿勢の悪さは老化による筋肉バランスの崩れである。懸垂では、鉄棒にぶら下がることで身体がまっすぐに伸び、自然と正しい姿勢に矯正される。また、背中の筋肉と腹筋を鍛えることで、背筋が伸びやすくなり、良い姿勢を長時間保てるようになる。
鏡の前で自分の体を分析する
健康管理は毎年人間ドックの検診を受けていれば良いというわけではない。検診はあなたの日常生活における健康管理の成果を見るためにある。夜、お風呂に入る前に裸姿で鏡の前に立って見る。自分の体を分析する。姿勢はどうか、腕や胸の筋肉はどうか、脂肪の付き方はどうか、体を見て何か異変が有れば、医者の診断を仰ぐ。
私は朝起きた時とお風呂に入る時にタニタの体組成計に乗って自分の体について情報を得る。体重は朝に比べて夜は1キロ増える。基礎代謝量も朝と夜とは違う。夜のほうが朝よりも高い数値になる。内脂肪、体脂肪、BMI数値、筋肉量、骨量、体内水分量などの数値の変化を見る。筋トレをした翌朝は、体重が1キロぐらい下がる。体の贅肉も薄くなる。多くは、寝ている時に水分と脂肪が代謝で消費されていくからだ。
定期的な運動習慣がないシニアの体は醜くなっている。鏡に写った自分の体の醜さを自覚すると何とかしたいという思いが生まれる。お腹の周りにできた贅肉、樽の形になったお腹、たるんだ顔、若い頃と比べてひどくなった自分の姿を認識する。この認識が出発点になる。定期的な運動の成果は鏡に映し出された自分の体に出てくる。3ヶ月単位で鏡に写った自分の体の写真を取ってみる。
3ヶ月後の体、6ヶ月後の体、12ヶ月の体の写真を比較してみれば、運動の成果がわかる。
定期的な運動の成果
自分の姿勢を気にして定期的な運動をやり始めるとその成果が体組成計の数値の変化になって出てくる。鏡に写った自分の体をじっくり眺めると何をすべきかが分かってくる。枯れてきている細いシニアは、タンパク質が多い食事中心に食生活を変えて筋トレを行う。肥満体のシニアは暴飲暴食を控えて定期的な運動を始める。
肥満は食生活の改善だけでも大きな成果が得られる。それに筋トレをすれば、肥満体の体形が標準体形に戻る。時間はかかるが、やれば出来る。筋肉を失い体が枯れていっているシニアはタンパク質を多く取る食生活に変えて筋トレを始めれば、時間の問題(1年間以上)で失った筋肉が回復する。肉、魚、大豆類、卵、バナナなどタンパク質を意識した食事を毎食する。
もし、若者のような逆三角形の上半身を求めるならば懸垂とベンチプレスの筋トレを1年以上続けることである。余分な脂肪を筋肉に変えていける。同時にたるんだ顔も治してシャープな顔にしてくれる。
健康的な体は健康寿命に繋がる
自分の体のお世話がちゃんと意識してやっていないと健康寿命は長くならない。成人病を気にするならば、食生活と運動習慣に気を使うことである。まずは、自分の体形を満足がいく体形にする。食生活の改善と定期的な筋トレは老後の生活で必須である。筋肉は年令に関係なく鍛えれば体に付いてくる。タンパク質の多い食事をして筋肉を定期的に鍛えるだけでそれが達成できる。
肥満のシニアは成人病になりやすい。枯れて来ているシニアは歩行障害が発症する。今からやらないとシニアの体はどんどん崩れていく。体全体の骨の形も変形してくる。老後に醜い体にならないよう今から対処すべきである。
結論
- シニアは、若者よりも大きな病気になりやすい。成人病が人間ドックで注意されるのは体が弱くなっていくからだ。長年の食習慣と運動習慣で体形に違いが出る。70歳代になると顕著になる。
- 夜お風呂に入る前に鏡に写った自分の姿を観察する。この体をもっと良くしたいという欲望があるシニアは、筋トレと食習慣を意識した生活を検討すべきだ。老化はシニアの体に忍び寄っている。老化が酷くなる70歳代の前に自分の健康管理を見直すべきだ。